さつまいもの機能性1<抗酸化能>近年、私たちの体内における呼吸などの生体反応や、紫外線、 タバコ、排気ガスなどの環境汚染物質、薬物などの 外的要因などにより生じた活性酸素が、細胞内の遺伝子のDNAや 細胞膜に損傷を与え、それが種々の疾病をはじめ発ガン、 さらには老化にもつながることが明らかになってきている。 この活性酸素の働きを抑える物質が抗酸化物質と呼ばれ、 種々の食品の中に含まれていることが知られている。 さつまいもを、他の作物と比較した結果、紫色のさつまいもで 作ったジュースは、りんご、トマト、ニンジンより 抗酸化能が強かった。 また、さつまいもの品種、系統間で抗酸化能に差があり、 アントシアニン色素を含む紫色のさつまいもは、 白、黄、橙色のいもより明らかに強い抗酸化能を有することがわかった。 抗酸化能の強さをいもの部位で比較すると、いも内部の肉質部よりも 皮部で明らかに強かった。これは、皮部には肉質部よりも 多くのクロロゲン酸(ポリフェノールの1種)がふくまれてることが 関与していると考えられる。 2<抗変異原性> ガンは、正常細胞の遺伝子が変異原物質により損傷を受けて変異を 起こし、さらにプロモーターによりガン化が促進されることによって 発現する。変異原物質としては焼き魚等のこげた部分に含まれるアミノ酸や タンパク質の加熱分解物などがしられている。しかし食品にはこれらの 変異原の作用を抑制する物質(抗変異原物質)もあることがわかり、 注目されている。このような作用が、さつまいもにあるか検討した結果、 アントシアニン色素を有する紫芋には強い抗変異原性のあることが わかった。これにはアントシアニン色素に含まれる10種類の色素のうち シア二ニジンという色素が大きく関与していた。 3<メラニン生成抑制能> 動物細胞(マウスメラノーマ細胞)を使った実験では、 さつまいもにはしみやそばかすの原因であるメラニンと呼ばれる 黒色色素の生成を抑制成分としてはアルブチンがよく知られており、 市販の化粧品の中にも入っている。さつまいもにも同様な効果が あることから、今後さつまいもから抽出した成分から美白効果のある 化粧品が生まれることも夢ではない。 4<肝機能障害軽減効果> ラットに肝機能障害誘発剤(四酸化炭素)を投与して、血清中の GTO、GPT値を調査した結果、予め紫色のさつまいもジュースを 飲用したラットでは、明らかにこれらの値が低下し、肝機能軽減効果の あることが認められた。また、人(肝機能要注意者)に対しても、 紫いもジュースを飲用することにより、血清γーGTP,GOT およびGPT値が低下し、特に肝機能に注意が必要と指摘されてから、 5年未満の人に高い効果が認められた。 5<血圧降下作用> 紫いもであるアヤムラサキの抽出液は、血圧上昇に関与する アンギオテンシンⅠ変換酵素に対して強い阻害活性を示すことが 試験管内レベルで明らかとなった。 さらに、人でも同様な効果がみられるかを、紫いもジュースを飲用して 検討した結果、最大血圧が140㎜Hg以上の高血圧の人では飲用後 最大血圧が20mmHg以上低下する人がみられた。以上のことから 紫色のさつまいもいは高血圧予防に役立つ成分が含まれてると 考えられる。 6<整腸作用> さつまいもには食物繊維が多く含まれており、便秘の予防に効果がある。 また、さつまいもをわぎりにしたとき表皮から5mm程のところから 白い液体が出てくるが、これはヤラピンとよばれる物質(糖脂質)で、 これも便秘の予防に効果があるといわれている。なお、食物繊維には、 ほかに腸ガンのよぼうのほか、血中のコレステロールの低下にも 効果があるとされている。 執筆担当機関:農産物加工研究指導センター さつまいも小事典(鹿児島県農政部流通園芸課)より 前←さつま芋の機能性→お芋のレシピ・その8へ |